【これまでの常識が通用しない「催眠」の世界】
これまで、FBI流の引き出し法や、相手を癒やす「ほめ言葉」、そして潜在意識に語りかける催眠誘導などをご紹介してきました。それらの共通点は「相手に寄り添い、同調する」こと。
しかし、今回ご紹介する『吉田かずお式催眠術のカナメ』は、そのどれとも一線を画す、かなり特殊で、かつ人を選ぶ一冊です。
【「同調」ではなく「権威」でかける催眠】
本書は、伝説の催眠術師・吉田かずお氏の技法を、石川真氏が解説したものです。 最大の特徴は、一般的な心理学で言われる「相手と息を合わせる同調(ミラーリング等)」を主眼においていない点にあります。
むしろ、催眠術師としての**「権威」を前面に押し出し、相手に「この人の言うことなら……」と催眠を許容させる(認めさせる)**という、いわゆる「直接催眠」の立場をとっています。
【正直に言います、初心者にはおすすめしません】
私はこのシリーズの他の本を何冊も読み込んできましたが、本書については正直なところ「何を最も伝えたいのか」が掴みにくいと感じました。
著者の個人的な感想や、他書からの引用が混ざり合っており、吉田先生独自の「許容アプローチ」という会話法についての記述も、どこか一貫性に欠ける印象があります。
確かに「なるほど」と思わされる鋭い記述も一部にはありますが、全体としては:
- 構成がやや複雑で、論点が散らばっている
- 「権威」を背景にするため、日常のコミュニケーションに応用しづらい
- 他の良書を読んでからでないと、誤解や混乱を招く恐れがある
そのため、催眠術の基礎を固めたい初心者の方は、あえて今は読まない方がいい、というのが私の正直な結論です。
【この本を手に取るべき人は?】
もしあなたが、すでに催眠や心理学の基礎を十分に学び終え、実戦を重ねた上で「他とは違う特殊な事例や視点も知っておきたい」という上級者であれば、研究資料として一読の価値はあるかもしれません。
しかし、人間関係を円滑にするためのツールを探しているなら、まずは以前紹介した『コミュニケーションのための催眠誘導』などをボロボロになるまで読み込むことを強くおすすめします。



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